樹木が二酸化炭素を吸収しながら成長することは、小学校の理科でも習いました。
森林の樹木は、私たちの住まいに使用されてからもCO2を蓄えたまま存在しています。
⇒二酸化炭素排出抑制にどのくらい貢献していますか?|住まいのCO2貯蔵量を知る方法
では、植生している樹木一本のCO2吸収量はどのくらいなのでしょうか?
今回は植生している樹木のCO2吸収量を算出し、去年完成した住宅が使用する年間消費エネルギーから換算したCO2排出量との比較をしていきます。
樹木のCO2吸収量を知る方法
まずは植生している樹木のCO2吸収量の計算方法から紹介します。
手順
- 樹木の大まかな区分を調べます。
- 樹木の幹の太さ(幹周り)の長さを測ります。
- 樹木の幹の太さから、樹木1本が持つ葉の面積を求めます。
- 樹木の年間CO2吸収量を求めます。
それでは、それぞれ順を追ってみていきます。
1.樹木の大まかな区分を調べる
植生している樹木を「落葉樹またはマツ類」「常緑広葉樹またはマツ類以外」「中低木」の3種類に分類します。
マツ |
常緑広葉樹(クスノキ) |
中低木(キンモクセイ) |
2.樹木の幹(みき)の太さを測る
2m程度の「巻き尺」を用意し、幹の太さを①で区分した樹木ごとに測ります。
高木の場合
樹木の高さが3m以上の高木の場合は地面から1.2m位の高さで、
樹木の高さが3m未満の中低木の場合は根元で、
幹周りの長さを測り、樹木の幹の太さとします。
樹木の高さが約3m以上のもの 1階の屋根前後、またはそれより背の高い木 |
地面から1.2m位の高さで、幹の太さを測ります |
中低木の場合
樹木の高さが約3m未満の場合は根元で測ります。
根元で測ります |
3.樹木の幹の太さから樹木一本の葉の総面積を求める
樹木の形状により、幹の太さから樹木1本の葉の総面積を推定することが出来ます。
【表】単木の形状別総葉量の推定表(単位:m2)
4.樹木の年間CO2吸収量を求める
樹木の葉1m2が1年間に吸収する総CO2量(kg/m2・年)は樹種によって異なります。
- 落葉広葉樹高木=2.3(kg/m2・年)
- 常緑広葉樹高木=2.3(kg/m2・年)
- 中低木 =3.0(kg/m2・年)
ー【出典】公害健康被害補償予防協会(1955)<改訂版>大気浄化植樹マニュアル>-
調べた木が『高さ3mの常緑広葉樹、幹周りの太さ90cm』の場合は、
2.3(kg/m2・年) × 270(m2) = 621(kg/年)
住宅1軒が使用する年間消費エネルギーから換算したCO2排出量
去年竣工したばかりの住宅を例にあげて、CO2排出量を算出します。
【建物概要】
- 延床面積=148.23m2(木造2階建)
- 地域区分=5地域
- 日射区分=A3区分
- 外皮平均熱貫流率(UA値)=0.48W/m2K
- 冷房期平均日射熱取得率(ηAC)=4.0
- 暖房期平均日射熱取得率(ηAC)=4.0
- 消費電力量=7,740kWh=27,864MJ
住宅のCO2排出量(kg-CO2)は
(電力消費量[MJ]/電気の一次エネルギー換算値9.97[MJ/kwh])× 電気のCO2排出係数0.465[kg-CO2/kwh](北陸電力)
より、
(27,864[MJ]/9.97[MJ/kwh])× 0.465[kg-CO2/kwh]
=1,299.57 ≒ 1,300[kg-CO2]
比較
『高さ3mの常緑広葉樹、幹周りの太さ90cm』の年間CO2吸収量は621(kg/年)
『昨年竣工したUA値=0.48W/m2Kの住宅』の年間CO2吸収量は1,300(kg/年)
ということは、
『高さ3mの常緑広葉樹、幹周りの太さ90cm』の木を3本植えれば、
この住宅が1年に排出する二酸化炭素を賄えるということになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
省エネ設備にばかり力を注ぐのではなく、広い視野で地球環境を考えることが必要ではないでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました!!(^o^)/
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