『窓デザインを制するものは住宅デザインを制する』といっても過言ではありません。
それほど名作と呼ばれる住宅には、設計した建築家の想いが詰まったディテールが詰め込まれています。
そこには規格型住宅には生み出すことができない、様々な工夫や快適性、美しさが存在します。
今回は窓周りのディテールから、住宅デザインの参考になるアイディアを紹介していきます。
枠を消す
窓枠を消す手法です。
窓には木材、またはMDFサッシメーカー規格品の窓枠を設けることがほとんどですが、窓枠を用いないデザインも存在します。
壁紙などを窓本体に向かって巻き込む手法で、窓枠がなくなる分コストダウン効果もあります。
見かけもスッキリするので、ミニマムデザインの建物によく用いられます。
しかし、下地であるプラスターボードは水に弱いので、窓と巻き込んだ壁紙との間に結露が起きてしまうと、壁がボロボロになってしまうので注意が必要です。
巻き込んだ壁紙の角が長年の使用で擦れてしまうので私は用いません。
壁巻き込みの例 |
家具と一体化させる
工事はほとんどの場合、(外部建具)⇒(枠造作部材取付)⇒(壁下地張)⇒(家具取付)の順序で行われます。
ここで、窓枠と家具を別々に考えずに、ひとつのまとまりとして考えることで、窓周りのデザインがスッキリと納まります。
窓と一体に設えたデスクカウンター |
工事の前後関係が逆になる部分があり、職人さんよりも現場監督の段取り力が問われるデザインです。
通風と見晴らしを両立させる
見晴らしのいい場所に立つ場合やこだわりの庭を造るとき、それらの景色を切り取って一枚の絵のように見せたい場合があります。
隣家の庭を借景にした窓 |
そんな時に絵(景色)の真ん中にガラス枠が横切ると、せっかくの景色も興冷めしてしまいます。
ところが窓を開けて風邪を入れたり、部屋の空気を入れ替えたりしたいときには、窓を開けなければなりません。
アルミサッシ(アルミ樹脂複合含む)に限定されますが、眺望の窓と換気用の窓を組み合わせて窓を作ることも可能です。
木で製作する建具でも可能ですが、耐久性の面や気密性に信頼がおけない点から、北陸ではオススメしません。
上手な組み合わせの参考として、住宅の名作のひとつルイス=カーン設計の「フィッシャー邸」があります。
水平連続窓
近代建築の巨匠 ル=コルビュジェが新しい建築形態の原理について書いた、有名な「近代建築の五原則」のうちのひとつです。
日本の木造建築のような、柱と梁で構成される建物で実現可能な窓です。
欧米の古建築ような石積み建築では、力学的な理由から水平方向に長い窓を作ることは不可能でした。
水平連続窓の効果
●パノラマの風景を楽しむことができる。
例えば水平連続窓を部屋の2方向に儲けることで、室内の広がりを演出し、開放感のある心地よい空間をつくることができます。
●光を多く取り入れられる。
横長の窓は縦長の窓と比較して、光の広がり方が広角なので、同じ窓面積でも室内を明るく、均一な採光を得ることが出来ます。
高断熱化に向かう現在では、熱損失がおねじでも明るい室内を実現することが可能になります。
逆に縦長の窓を連続させることで、メリハリのある光をつくることも出来ます。
●ダイナミックなデザインが出来る。
水平連続窓を用いる時は中途半端に部屋の途中で止めたりせず、思い切って使用しましょう。
線を単純にすることが、良いデザインを構成するコツです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、窓のデザイン手法を取り上げました。
数々の建築家が、窓のデザインに工夫を凝らして、独自のディテールを作り上げて空間を演出してきました。
今後も様々なデザインを紹介していきますので、ぜひ家づくりの参考にしてください!!
最後までご覧いただきありがとうございました!!(^o^)/
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